
家事や介護・育児、家の中で行われる「労働」は女性がやって当たり前?
愛があれば、なんでもできるの?

逃げ恥で「愛情の搾取」って言葉があったなぁー
いつも一生懸命なあなたへ。ヒヨッコ投資家 こか(@cocablog)です。
男女平等だと思っていた学生時代を終えたら、なかなか男女平等とは言い難い社会が待っていました。
新卒で就職した先は、金融機関の女性営業部隊でした。
「女性にはリスク商品を扱うのは難しいから」という理由で、男女で営業部隊が分かれていました。
もちろん、お給与も違います。
どうして女性にはリスク商品を取り扱うのが難しいのでしょうか。
リスク商品を取り扱うのに、性別は関係しますか。
今回のブログは、上野千鶴子さんの「これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい」を読んだレビューです。
上野千鶴子さんはジェンダー論・女性学・家族学を専門にされている、東京大学の名誉教授です。
本日もぜひ最後までご覧ください。
「これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい」について

書籍の概要です。
図書館でプラッと借りた本ですが、新刊で驚きました。
手に取ったきっかけ
2019年の東大祝辞が記憶に新しく、「あ、あの上野さんの本や」と思い、手に取りました。
上野さんの祝辞には、わたしが感じていたモヤモヤがまとめられていました。
「どうして、女性は『かわいい』ことを期待されるんだろう。『賢い』は評価されないんだろう」と、子どものころから不思議でした。
なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。
女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。
ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。
だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。
祝辞|東京大学
世間から求められる「女性らしさ」「男性らしさ」に苦労している人々は少なくありません。
たとえば、ジェンダーレスな制服が登場しても、周りからの目が気になって着用できない生徒さんもいるそうです。
また、わたしは「ゴルフをしています」と言ったら、「女の子なのに?」と言われたこともあります。
有名な女子プロゴルファーが活躍しているっていうのに、その言われようです。
「女性らしさ」「男性らしさ」って悪いことではないけれど、当たり前のように求められてもなぁ…と思っていました。
この世に生を受けた時に付随している「オプション」みたいに思われても、困ります。
「次の世代のために少しでも行動しよう」と思いました

「ずっと続いてきてることだし、変わらないんじゃない?」とも思いましたが、上野さんの本を読み終わった後は「次の世代が生きやすくするため、少しでも行動できれば」と前向きな気持ちになりました。
今の世の中は長年の社会構造が作り上げてきたもの
著書の中では、長年の社会構造やそれらへの問題提起が書かれていました。
著書は、家事の不払い問題の提起から始まります。
近代資本制のもとで給与生活者が登場し、男性がそれを独占したことによって、家にいる無業の主婦が生まれます。
彼女たちは市場のなかでは無業ですが、働いていないかと言えば、「働く女」です。
なぜなら、すでに言った通り、家事は労働だからです。
ただし「見えない労働」であり「不払い労働」でした。
これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい
家庭によって異なるかもしれませんが、一家の主婦が行う家事は賃金が出ません。
わたしの夫にこの話をしたとき、「そんなお金ない…払ったら破産してしまう…」と正直に言われました。
「破産って、また大袈裟な」と思いましたが、「払えない」が本音なのでしょう。
時代は少しずつ変わっている
しかし、変わっていないようでも変わっているのが時代です。
星野源さんと新垣結衣さんが出演された「逃げるは恥だが役に立つ」をご存じですか。
新垣さん演じるみくりさんが平匡さん(星野源さん)に言ったセリフが印象的でした。
平匡さんは会社がうまくいかなくて、家政婦をしているみくりさんにお給与が払えなくなる可能性が出てきました。
みくりさんに、「結婚したらお給与を払わなくて済むよね」と平匡さんが言ったときのセリフです。
それは愛情の搾取です
逃げるは恥だが役に立つ
賛否両論あるでしょうが、「主婦=不払いが当然とされている世の中で、テレビドラマで主人公の女性がこんなセリフを言うのかぁ」と。
しかも、ガッキーが。
今の世の中は、長年作り上げてきた社会構造や慣習の延長線上に成り立っています。
「長年続いているなら変わらないんじゃないの」と考えていました。
でも、まったく変わっていないわけではありません。
変わっていないように見えても、少しずつ世の中は変わっています。
変えようとした人たちがいたおかげで、女性がお茶汲みをしなくて済むようになったのですから。
彼女が大人になったとき、少しでも生きづらさを感じないで済むように
わたしには子どもがいませんが、3歳の姪っ子がいます。
彼女が大人になったとき、どんな世の中なんでしょうか。
いきなり、社会構造や慣習が変化しないでしょうが、次の世代が生きやすくなるよう、少しでも行動できればと思います。
就職活動で受けた質問
就職活動の面接で、「結婚して、子どもができても、働けますか」と聞かれるのが大嫌いでした。
面接では「働きます」と答えるしかないし、女子学生にしか尋ねられない質問だったからです。
心の中では「そんな先のこと、聞いてどうすんねん」と思っていましたが、笑顔で「働きたいです」と答えていました。
「イクメン」なんて言葉が生まれる前のことですから、男子学生に尋ねている面接官などいませんでした。
今の子どもたちが就職活動をする頃、そんなしょーもない質問がなくなっていることを願います。
弱者が弱者のままで安心して生きられる世の中を

著書を読んで、フェミニズムについての理解も変わりました。
フェミニズム=男性のように振る舞うこと?
「フェミニズムは弱者が弱者のままで、尊重されることを求める思想です」
これには、「へー、そんなフェミニズムの定義は初めて聞いた」と言う反応がたくさんありました。
(中略)
別に女は男みたいになりたいわけじゃありません。
「男のようになる」ということは、強者、支配者、抑圧者、差別者になることです。
女はそんなことをちっとも望んでいません。
男も、過去には弱者だったし、いずれは弱者になります。
フェミニズムは弱者が強者になりたいという思想ではありません。
弱者になっても安心できる社会を作ることが、私たちの目的です。
これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい
今まで、フェミニズム=男性に負けないことのように理解しており、「フェミニズム」という言葉が好きではありませんでした。
しかし、何かに抗うわけではなく、社会で無理せず、自分らしく生きていくことがフェミニズムなんだと思うようになりました。
「らしさ」に縛られているすべての人が、「らしさ」から解放されればよいのに。
静かな怒りを込めて書いた記事
上野さんの書籍の「弱者になっても安心して暮らせる社会」とのキーワードを聞いて、思い出したことがあります。
2019年に、「女性は採用したくない」という発言に遭遇してしまいましたとの記事を書きました。
今、振り返ると、あの時のわたしは静かに怒っていました。
「あんたらみたいになりたいわけじゃない、でも、あんたらにそんな風に言われることもない」という気持ちが潜んでいたのだと思います。
記事公開後、読者の方からコメントをいただきました。
「女が世の中を変えて下さい」と。
世の中を変えることはできませんでしたが、採用担当者の発言内容を上司に相談しました。
上司も彼の発言に違和感を感じていたようです。
彼への注意喚起がされたのかはわかりませんが、相談してよかったと思っています。
個人にできることなんて、たかが知れています。
でも、何もしなきゃ、何も変わりません。
世の中も、自分も。
就職活動の面接で嫌な質問を受けたとき、「その質問にはお答えしたくありません」と言えれば、何かが変わったかもしれません。
女性も、男性も、自分にウソをつくことなく、みんなが自分らしく生きられるように。
次の世代が安心して暮らせる世の中を願います。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
最高のフィナーレを。
2022年7月
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